映画「コラテラルCollateral」のレビュー
街の持つイメージというものがある。舞台はロサンゼルス―――ここで観客は魔法にかけられる。「この街なら、こんな奇天烈なイベントが起こっても不思議ではない」ってね。
映画「コラテラルCollateral」のあらすじ
画像引用:Amazon
2004年、アメリカ映画。
ジェイミー・フォックス演じるマックスは、起業の夢を抱きながらも(確か)10年以上真面目に勤務を続けるタクシードライバー。
ある夜、いかにもキャリアウーマンという女性を乗せ、粋な会話を楽しんだ後、飛び込んできた乗客はトム・クルーズ演じるヴィンセントだった。
ビジネスマン風のヴィンセントは、「今夜5人の取引相手に会ったあと、ロスを発つまで、タクシーを貸し切りだい」と申し出た。
600ドルの誘惑に負けて、了承するマックスだが、実はヴィンセントは柔和な仮面をまぶった冷酷な暗殺者だった…
一晩の物語
メインのストーリーは、たった一晩の物語として進行します。
私はこういうタイプの映画が大好きです。こういうスタイルの映画は、息もつかせないような展開へと観客を一気に引き込む脚本でないと成立しないと思うんです。
映画の進行とほぼリアルタイムでストーリが展開していく手法のものを見ると、いつもアルフレッド・ヒッチコック監督の「ロープ」を思い出します。
―――やわらかい物腰のヴィンセント(トム・クルーズ)が、冷酷な暗殺者に豹変したり、ちょっとおどおどした雰囲気のマックス(ジェイミー・フォックス)が勇気を振り絞ってマフィアのボスとやり取りする…といったハイライトが、一晩のストーリの中にちりばめられています。
監督は「インサイダー」のマイケル・マン
トム・クルーズが悪役に挑戦したことでもよく知られる映画ですが、監督はマイケル・マン。彼は、 ラッセル・クロウ、アル・パチーノ共演の映画「インサイダー原題:The Insider(1999年アメリカ)」の監督でもあります。
「インサイダー」も私の大好きな映画なので、いつかどこかでレビューを書きたいなあと思っています。
ジャズ好きにも魅力的な映画
ジャズ愛好者のヴィンセントは、「せっかくロスに来たんだから殺人の合間にジャズでも聞きに行こう」とマックスを誘ってライブハウスに行くのですが…
ここも見どころの一つ。
ジャズが好きな人にとって、このシーンは印象的に映ることでしょう。マイルス・デイビスの逸話なども出てきて、「クーッ」と思ってしまいますね。
最終シーンはちょっと残念な感じも…
トム・クルーズ主演の映画としては、比較的マイナーな方なのかもしれませんね。でも見ごたえのある作品だと思います。
ヴィンセントが登場するシーンのセリフに最終場面への布石が隠されていて、なかなかいい感じに幕を閉めてくれます。
ただ個人的には、最後、マックスと女性が二人で歩み去るシーンはちょっと蛇足かな、と思ったりもします。
…みなさんはどう感じるでしょうか。