Que reste-t-il de nos amours?/Charles Trenet「残されし恋には」シャルル・トレネ
有名なシャンソンのスタンダードナンバー。1968年の映画『夜霧の恋人たち』をはじめ映画にも良く使用され多くの人がカバーしているので、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
1940年代の曲なので、歌詞自体はちょっと古めかしくあまり現代フランス語の会話の中では応用しにくいと思います。でも、大変美しい曲で、フランス語の学習としても使える文法があります。
Que reste-t-il de nos amours? Stacey Kent
フランス語の動詞renter
フランス語の動詞renterには、いろいろな意味があります。
理解しやすいのは、「とどまる、残る」という意味のrenterです。例えば、「Je suis resté à la maison toute la journée」というと、「一日中家にいた(外出しないで家にとどまっていた)」という意味になります。
動詞renterには、「余る」という意味もあります。
il resteで「残っている」「存在している」
この歌詞の中では疑問文として使われていますが、「il reste」のように「il」を主語としてそのあとに名詞が来ると、「〇〇が残っている」=「〇〇がある(存在している)」という意味になります。
ここで使われている「il」は「彼」ではなく、特別な人や物を指しているわけではありません。英語で言うと「it」に相当する働きだと理解すると分かりやすいと思います。日本語の訳の中には現れてきません。
「Il reste un peu de vin au fond du verre.」というと、「グラスの底に少しワインが残っている」となり、「彼がワインを残す」となるわけではありません(文脈によっては、その可能性もありますが)。
昔の恋を懐かしみながら聞くシャンソン
日本語タイトルは「残されし恋には」というらしいです。昔の恋に思いをはせる、ちょっとほろ苦い歌詞です。
でも、昔の過ぎ去った記憶を悲しんたり嘆いたりしているのではなく、思い出にひたって、良き時代を懐かしんでいる様子が読み取れます。失恋した直後ではこうはいきませんよね(笑)。
Que reste-t-il de nos amours?
Que reste-t-il de ces beaux jours?
Une photo, vieille photo, de ma jeunesse.
私たちの恋の後に残っているものは何?
あの美しい日々のあとに残されたものは何?
それは古い写真、私の若かりし頃の写真。
一度や二度、恋愛をしたことがある人なら、自分の昔の恋に重ね合わせて、ちょっと感傷にひたってしまうかもしれませんね。