書き手の性別
以前ライティングのお仕事で、「書き手が女性だということが、なんとなく感じられる記事を書いていただくのが理想的です」とリクエストがあったことがあります。
書き手の性別を読者に意識してもらいたい?
クリエイターとして文章を書いている人の中には、自分(書く人)の性別を明らかにしたいという人もいれば、「男か女か分からない中性的な」文章を書きたいと考えている人もいるでしょう。
そもそも、「自分が女(男)だと知って、自分が書いた文章を読んでほしい」と思っている人は、そのハンドルネームや筆者名に性別が感じられるような名前を付けているものかもしれませんね。
私自身は文章を書いているとき、読者が私の性別についてどう考えているか、あまり気にしたことがありません。
しかし、逆に誰かの記事を読んでいるときには、筆者が男なのか女なのか、それともそれ以外の性別なのか、常に気にして読んでいるように思います。
私が筆者の性別を意識する理由
海外で、日常的に英語をよく話すようになってから、その傾向が強くなってきたのかもしれません。
なぜかというと英語を話すときには、話の対象となっている人物の性別が日本語での会話よりも大きな意味を持っているためです。
―――英語が苦手という方も、中学で勉強した英語の授業はうっすらと覚えていらっしゃると思います。難しい英語文法の話を書くつもりはないので「うわー、英語の話か」と思っても、できれば最後までお付き合いください^^
英語は日本語と違って、基本的に主語が省略できない言語です。
しかも、「田中さん」などの固有名詞や「ブロガー」という普通名詞の繰り返しを嫌う言語でもあります。
そのため例えば「今日、おもしろい記事を読んだんだけど、そのブロガーさんが言うには…」と、その日読んだ記事の話をするとき、筆者の名前や「ブロガー」「書き手」という単語の繰り返しを避けるために、どうやっても代名詞「She」とか「He」で置き換える必要があるわけです。
ふと、その段階になってから「あれ?あの記事書いた人って男だっけ、女だっけ?」と考え込むことがあるわけで。
日本語では主語省略は頻繁に行われるし、「田中さん」が何回会話に登場しても、特に違和感は感じないでしょう。というか、そもそも一塊の会話の中で「主語」の登場回数そのものが少ないですよね。
そのブロガーやライターが女であっても、男であっても、その人のことを話題にするときにはどっちでもいいわけです。「その人」という便利な言い方もある。
ちなみに中国語では、「彼=他」「彼女=她」と漢字表記は異なるものの、発音はいずれも「タ」と同じです。ただし、英語と同じく、主語の省略はあまり行いません。
そういう意味では、日本語は「男でも女でもないその他の性別」の方について語る時には、とても便利な言語なのではないか、と思うのでした。