Dizzy Gillespie - Salt Peanuts (1942)
今日はね、ソルトピーナッツのことを話そうと思って。―――そう、食べ物のピーナッツ、美味しいんですけどね。そうじゃなくて、ジャズのことよ。
これ、聞いたことある?
歌詞は「ソルトピーナッツ」だけというシンプルなジャズ。ちょっと、笑うよね。これでいいの?って思わない?
とはいえ、モダンジャズ代表作の一つ、私はけっこう好きなので、今夜はピックアップしてみましたよ。
ソルトピーナッツって「塩落花生」のことよね。ビール飲むと食べたくなる、アレね。そうなんですけど、でも、ジャズの逸品としてかっこいいんですよ、これが。
作曲したのはトランペット奏者でもあるDizzy Gillespie(ディジー・ガレスピー(1917-1993)、ジャズカテゴリーとしては「ビバップ(bebop)」に分類されるらしい。
ビバップ(bebop)について
実は私も今まであまりちゃんと理解していなかったのだけれど、ビバップ(bebop)はモダンジャズの様式の一つで、スイングジャズに対するものとして紹介されることもあるそうで。
特徴はテーマが演奏された後、そのあと自由なアドリブで曲が展開されていくという形式です。それって、よく聞くジャズのパターンだよね。
アドリブのアドリブで、テーマの原形が分からなくなるくらいにデフォルメされることもありますね。
ディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie)について
さて、うんちくは、まだ続きますよ。笑。
アフリカ系アメリカ人で、最初はトロンボーンから演奏を始めたらしいのだけれど、すぐにトランペットに転向したのだとか。上向きに曲がったトランペット(アップベル)と頬を膨らませて演奏する姿(実は特異体質)は、彼独特のスタイル。
1940年代から、より自由なジャズの演奏法に傾倒し、これがビバップの芽生えにつながったわけで。サックス奏者のチャーリー・パーカーとともに、モダンジャズの原形を築いたともいわれています。
ちなみに、この曲が作曲された同じ年、ディジー・ガレスピーはチュニジアの夜 (A Night in Tunisia)という曲も作曲しています。こっちの方が日本人には有名かも。
Dizzy Gillespie feat. Charlie Parker - A Night In Tunisia
この曲を聴いて「チュニジアって、どこにあるんだろう?」なんて、想像力を膨らませたのは私だけじゃないと思います。
ディジー・ガレスピーは、この時代のジャズ奏者にしては珍しく、彼は節度のある生活をしていたそうで(宗教上の理由により)。そのため、比較的長生きした方だといっていいのではないでしょうか。1993年すい臓がんにて他界、享年75歳。
ソルトピーナッツ(Salt Peanuts)のこと
この曲、実はアメリカ大統領だったジミー・カーターが、ホワイトハウスで開催されたジャズコンサートの中で歌ったこと(1978年)でも有名らしい、とWikiには書いてありました。大統領が「歌った」といっても、「ソルトピーナッツ!ソルトピーナッツ!」ってだけでしょうけど。
香港のセントラルというエリアに有名なピーナッツバー(ピーナッツパブとも)があってね、待ち合わせとかに時々使ってましたね。この曲を聴くと、そのバーのことを思い出しちゃいますね。
ピーナッツの殻がね、もうそこらへん、至る所に散らばっているんですよ。席に着くと、まずボウルたっぷりのピーナッツが運ばれてくる。これで「ああ、なるほどね」と納得するわけ。店の本当の名前は「ピーナッツバー」じゃあないと思うんだけど。
まあ、世界のどこに行っても、通称「ピーナッツバー」とかいうのはあるので、そういうパブを渡り歩くのも楽しいかもね。