はな劇場

地下1階。土壁に囲まれた、アップライトピアノとステージだけの場末パブ。Googleマップには載っていません。

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Je suis malade/Lara Fabian

ベルギーの歌手ララ・ファビアンが、ドラマチックに歌い上げます。歌を聴いているというよりも、演劇を見ているという感じに近いです。

 


Je suis malade Lara Fabian French and English subtitles

 

この歌はもともと男性が創ったもので、以前紹介したNe me quitte pas 「行かないで」のジャック・ブレルが作詞したものです。Ne me quitte pas といい、この曲と言い、ジャック・ブレルはかなりウェットな恋愛が好きなようです、笑。

 

「Ne me quitte pas(行かないで)」もそうですが、「Je suis malade(私は病んでいる)」もタイトルがシンプルなのに印象的なのも、彼らしいといえるのかも。

「malade」は「病気の」という意味の形容詞ですが、男女同形になりますので、ジャック・ブレルが歌っても、ララ・ファビアンが歌っても変化しません。

 

歌詞に描かれているのは、自分から去ってしまって帰ってこない、恋人に対する恋焦がれる気持ちです。恋しくて仕方がない気持ちが募り、最後は「怒り」のようにさえ聞こえます。

この歌は、ララ・ファビアンの歌唱力あってのものでしょう。彼女のパワフルで印象的な歌い方は、むしろオペラの中の楽曲のような、劇場型です。

彼女の場合「うたっている」というよりも「演じている」と言うほうがしっくり来るかもしれません。

 

構文「ne ~plus」もう~ない

Je ne rêve plus je ne fume plus
Je n'ai même plus d'histoire

構文「ne ~plus」は、「もう~ない」と言う意味でよく使われるフレーズです。

ここは、「私はもう夢見ることはない、タバコも吸わない、物語を語ることさえしなくなった」となります。

 

Je suis malade
Complètement malade

このサビの部分の後に続くフレーズ。

 

悲しみから怒りへ盛り上がる歌詞

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Comme quand ma mère sortait le soir
Et qu'elle me laissait seul avec mon désespoir

まるで、母親が夜に出かけてしまった時のように、
そして母は僕ひとりにする、悲しみと一緒に

 

ここの歌詞は、いきなり母親が出てきてちょっと分かりづらいのですが、作詞したのが男性であることを考えると、何となく納得がいくような気もしないでもありません。

やはり、ジャック・ブレルの最高の愛情対象は母親なのか、と思ってしまいますねぇ。男性はみなさんそうなのでしょうか…。

 

そして、曲はクライマックスへ続きます。

T'entends je suis malade

T'entendsというのは、かなり怒りが現れていますね。「ちょっと聞いてるの?!」と言う感じですね。

 

とても劇場的で激しい歌をララ・ファビアンが三白眼で演じ切っていて、ハマり歌手じゃないかな、と。

そこまで恋愛にエネルギーを注げるものなのか、とややこっぱずかしい感じもしますが、彼女の絶唱に見とれてしまいつい最後まで聞いてしまうのでした。思わず喝采したくなります、笑。

 

www.hanatabito.com