事実婚だと不安ですか?
世界中の国をすべて知っているわけではありませんが、今までの海外経験の中で、私がもっとも多くプロポーズされたのは中国人男性です。
―――といっても、私がいかにモテるかということを言いたのではなく、「結婚」というものに対する各国民の考え方と事実婚について、語ってみたいと思います。
私と夫は事実婚カップル
以前の記事にも書きましたが、私と夫は事実婚です。正式な戸籍上の手続きはしていません。
事実婚であっても、カナダでは移民ビザが取れますし、相続においても、書面で結婚手続きをするカップルと同じだけの権利が保証されるよう*1なので、結婚の必要性を感じていません。
国際恋愛と結婚観
結婚に対する考え方は、国籍によってかなり差があるようです。日本人同士でも結婚観に多少のギャップはありますが、全体的に日本人は結婚制度を重視する国民性といってよいでしょう。
これは、国民の性格や性質というよりも、社会構造や慣習によるものです。
ところが、他の国の人たちと話をしてみると、結婚に対する考え方がかなり違っていることがあります。
先に中国人の話をしましたが、私が今まで出会ったり話をした経験から言うと、中国人も結婚を重視しますし、考え方としては数十年前の日本人の結婚観に近いかもしれません。
中国人男性からプロポーズされたことが多いといったのは、彼らが「好き」「恋人になって」というのと同じくらいのノリで「結婚しよう」「君と結婚したい!」と言ってくるからです(もちろん、個人差があります)。
結婚観と必要性
逆に、結婚制度について淡泊な国の方もいます。
宗教上の理由により離婚が困難な場合もあり、そういう人たちは正式な結婚ではなく事実婚を好むという話は、みなさんも聞いたことがあるかもしれません。
私の夫も、結婚という制度に対しては、どちらかというと心地よく思っていないようです。というか、むしろ「恐怖感」を持っているといってもいいかもしれません、笑。
それで、私たちも事実婚という選択をしました。実際、カナダで生活するにあたって、正式な結婚手続きをする必要がないというのも理由の一つです。
事実婚に不安を感じないの?
そもそも結婚というのは、第3者によって二人の関係を認めてもらうことを指していると思います。だから、神様や親族の前で誓いをするのですよね。その延長線上で、政府による「お墨付き」を得るために、書面として「結婚届」を提出します。
厳密に言うと、「結婚届」を提出しない結婚が「事実婚」ということになるのかな。
私も以前は正式に結婚していたことがあったので(正式な離婚も経験しました)、結婚届を提出するときの気持ちはわかります。届を出すことで二人の関係が公式に認められるわけですから、なんとなく安心感がありました。
じゃあ、事実婚では「安心感」を得られないのでしょうか。不安に思ったりしないのでしょうか。
正直なところ、正式な結婚手続きをしないと決めた時、不安感がありました。
結婚制度は多かれ少なかれ、二人の関係を保証し束縛するものです。相手と共通して結婚指輪をすることで安心する人もいるでしょう。「結婚」という「印」が刻まれるわけですから。もちろん、それを窮屈に感じる人もいるでしょうが。
そういった、形や公式の「モノ」によって保証されないという不安感が、事実婚にはあるのです。少なくとも私はそう感じました。
実質的にはどちらも変わりない
結婚制度によって保証されないということは、お互い心変わりして別のパートナーを見つける可能性も高くなるのではないか、と思ったりするわけです。
でも、事実婚カップルとして数年を過ごしてきて、最近はだんだんと考え方が変わってきました。
制度によって縛られない関係だからこそ、相手の気持ちを信じられると思うようになったのです。
相手に愛情を感じなくなったらいつでも離れられる関係だからこそ、こうしていつも一緒にいるということは、つまりそれ自体が愛情表現であり、二人の関係を証明しているものではないかと。
*1:厳密には法廷で争うケースもあります。参考:https://www.cbc.ca/news/canada/montreal/unmarried-quebec-couples-have-no-right-to-alimony-court-rules-1.1322347
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