はな劇場

地下1階。土壁に囲まれた、アップライトピアノとステージだけの場末パブ。Googleマップには載っていません。

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音楽家はずるい

世界はすでに探検しつくされていて、もはや秘境はどこにもない、といわれたりするけれど、未知のことで「オモシロイ」ものというのは意外とその辺に転がっていると思う。

それはもしかしたら能動的に取りに行かないと、見つけられないのかもしれないが。

 

今まで聞かなかったアーティストの音楽を聴いている。そのきっかけは、SNSとかで流れていたものや、ソーシャルメディアを通じて交流ができた人から。

そもそも、私がこんなふうに文章を書くことになったこと自体が、ソーシャルから始まったのかもしれない。

 

彼らの歌や音楽を聴いていて思うのは、「音楽やっている人はずるい」ということ。

 

私たちのように文章を書いている人は、他人の首元をつかんで自分の作品を読ませるわけにはいかない。文を読んでもらうためには、一定時間、その人の目と頭を奪ってしまう。

 

ところが、音楽はどうか。

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いきなり音を立てて、他人の注意をひくことができる。

必ずしもリスナーが能動的になる必要はなく、そのへんのストリートでライブすればかなりの歩行者に受動的に自分の「音」を聞かせることができる(ストリート朗読とかやったら、だれか聞いてくれるかな? でもそれって、文章を書く以外の能力も必要だよね)。

 

映像ではなくサウンドだけが作品であれば、ながら聴きしてもらうこともできる。さらにさらに、たいていの場合、言葉の壁もない。

 

 

すぐれた音楽は、ほんの数秒、数分のサウンドで、他人を虜にすることもある。そして、誰かを勇気づけたり、インスピレーションを与えることもできる。逆にリラックスさせることも。

 

まったくもって、音楽家はずるいなあと思うのだけれど、私は文章を書くしかできないので、仕方ない。

 

 

www.hanatabito.com